top of page
検索

“農業×デザイン”無人販売キット「Petit Market」と作る未来の美味しさ






“小さな市場”と名付けられた無人販売キット「Petit Market」。家型のアイコンにデザインされた想いは、「未来の農業」へどのように繋がっていくのでしょうか。自然豊かな群馬県ならではのアイディアをご紹介致します。


 




2021年11月8日から2週間に渡り、群馬県庁舎1階エントランスホールにて「県庁マルシェ」が開催されます。群馬県の農作物紹介や魅力発信・県内の農業課題へ広く関心を高める場として、県産品の販売やキッチンカー出店による飲食の提供が予定されています。


会場内には今年7月にリリースされたばかりの無人販売キット「Petit Market」が設置され、新しい形の農作物販売をサポートします。デザイン・企画を担当したのは群馬県前橋市にて包装資材等のデザインを行う「A.P.M」の天野紀也さん。佐藤オオキ氏率いるデザイン会社「nendo」と共同開発を行った本プロダクトは、「工具不要」で組み立てられるシンプルな設計の“直売所”として、持続可能な農業づくりや「フードロス問題」の解決を目指し作られています。

今回は天野さんへインタビューを行い、無人販売キット「Petit Market」にかける想いを伺いました。「未来の農業」へ向けたアクションは、群馬県の魅力づくりにどのような影響を与えていくのでしょうか。「Petit Market」の取り組み・想いをシェアする中で、地域の皆さんと共に「未来の農業」について考えてみたいと思います。



 


「Petit Market」開発のきっかけ





前橋工科大学を卒業後、設計事務所に入り建築デザインを学んだという天野さん。現在は農業デザインへと分野を変え、「Petit Market」の開発・販売をスタートさせています。天野さんが語られるのは、「業界を変えたことで見えた景色・気付いた社会問題」について。「Petit Market」誕生に至るまでの想いをご紹介していきます。


群馬県前橋市、包装資材をメインに農業系のデザインを行う会社「A.P.M」の代表・天野紀也さんへインタビューをさせて頂きました。元は設計デザインを専攻されていたという天野さん、農業分野との出会いからお話を聞かせて頂きます。

「前橋工科大学を卒業し設計事務所に入社した私は、建築デザインに携わる仕事をしていました。建物に関わるデザインは面白かったのですが、働き方が合わずに苦労したことを覚えています。別の分野でデザイン力を活かせる仕事がしたいと思い、たまたま興味のあったパッケージデザインの会社へ転職。メインで扱っていた包装資材は段ボールで、フレキソ製版による段ボール印刷の版づくりをデザイン業務としてやり始めました。」

「段ボール印刷のデザインを求めるお客さんの多くは、農作物を出荷したい農家さんでした。競合の少ないニッチな業界だったこと、お客さんとの距離が近い仕事をしていたことが関係して、自然と地域農家さんのお話を聞く機会が増えていきました。そこから農業関係のお店のロゴや商品パッケージなどを依頼頂くようになって。幅広く農業系のデザインに携わるようになりました。」

「建築業界と違い、デザインと馴染みのない“農業”という業界ならではの苦労や発見もたくさんありましたね。だからこそ『お客さんに寄り添ったデザイン』をすることが、最も大事なことだと考えています。お客さんと同じ目線で、同じ目標に向かって仕事をすること……どんな業界でも、これが一番大事なことじゃないかと思います。」 





畑に足を運び、農家さんの農作物に対する想いに触れる中で、地域農業に共通する「困りごと」を見つけたと話す天野さん。デザインを入口として農家さんと共に悩み歩む中で「Petit Market」開発に繋がる想いが育っていきます。 

「地域の農家さんと付き合う中で、農作物の売り先や売り方に悩む人が多いこと、また出荷調整や規格外商品の廃棄といった『フードロス問題』が非常に身近な社会問題であることに気が付きました。日常的に捨てられてしまう“売ることのできない”野菜や果物、畑から収穫されずに土に返される農作物。素直に『もったいない』と感じましたし、売れる可能性を探すことができれば農家さんや農業全体の助けになるのではないかと考えました。」

こうして、構想に数年の年月をかけ作られたのが「手軽に農作物を売れる仕組み」としての直売所「Petit Market」。棚・照明・コイン入れなど極力必要な物だけに絞ったシンプルな設計は、新規就農者や小規模な農家でも扱いやすいサイズ・コスト感を目指したそうです。従来の「農作物直売所」とは異なるスタイリッシュな雰囲気は、今まで農業に関心のなかった客層や多様な年齢層の興味を惹く仕掛けとして機能しています。「農業×デザイン」の組み合わせは、どのような変化を地域へ起こしていくのでしょうか。



 


「Petit Market」への想い





遠目からでも目立つ家型のアイコンは、「Petit Market」の取り組みが広まった時、キャッチーなシンボルにもなりそうです。小さな市場、気軽に使える直売所に込められた熱い想いが、これからの農業を変えていきます。


天野さんの企画した「Petit Market」にはこれからの農業・これからの社会の課題を解決する仕掛けが詰まっています。今、世界的な社会問題として注目を集めている『フードロス問題』も「Petit Market」が解決したい課題の1つ。一般に注目されている小売・飲食店や家庭からの食品廃棄だけではない「生産現場の食品ロス」対策として、デザインの力でアプローチできればと天野さんは語ります。

「B級品や規格外の野菜を手軽に消費者へ販売する仕組みができれば、『フードロス問題』を僅かながら解決できると考えています。既に数件、農家さんや企業の方から良いリアクションをいただいており、社会意義を共にした協業の可能性も拓けるのではないかと期待しています。」

「また、捨てられるはずだった農作物が価値を生めば、持続可能な農業づくりにも繋がっていくのではないでしょうか。『Petit Market』は単なる棚や什器ではなく、自分のお店・直売所としての機能を備えています。ぜひ農家さんには農作物を作るだけでなく、自分らしい売り方にも挑戦してもらいたいですね。『自分の表現』を考えることは苦しみもありますが、表現することやブランドを育てることの楽しさを知ってほしいと思います」

「手軽にオシャレなお店が出せる『Petit Market』を活用することで、農家さんのブランドづくりも応援したいです。」と天野さん。「Petit Market」には3種類のサイズ、4種類のカラーバリエーション、そして多彩なオプションが用意されているため表現の幅に困ることはなさそうです。今までには屋根部分に黒板塗装を行い、チョークを使ってオリジナルの店舗づくりを楽しんだお客さんもいるのだとか。「皆さんと一緒に、商品を活かす表現を考えていきたいと思います。」と今後の意気込みを話してくれました。

「今までお世話になった農家さんへデザインの力で恩返ししたい……そんな気持ちが『Petit Market』開発を後押ししてくれました。デザイナーとして、農家さんが『自分らしさ』を表現できるようなブランディングのお手伝いができれば嬉しいです。」

デザイナーらしい感性で、農業課題の解決と地域の魅力づくりに取り組む天野さんの想い。小さな市場が地域に根を張り、“強い農業”を支えていく未来は近づいています。



 


実現したい未来の農業





「県庁マルシェ」でお披露目される「Petit Market」、プロダクトに込められた地域・農業への想いは皆さんの心に届いたでしょうか。熱い想いを受け取った方、群馬の農業に興味が出た方は、ぜひマルシェの場へお越しください。皆さんの力をお借りしながら美味しく楽しいイベントが未来へ続くものになることを期待しています。


最後にお聞きしたのは、これからの展望について。「Petit Market」が目指す「未来の農業」と私たちはどのように関わっていくのでしょうか。これからの課題と地域で目指したい未来について語っていただきました。

「身近な農家さん、問題意識を持って活動されている農家さんからの反応は良好です。しかし、出店の手間を嫌がる農家さんも当然いらっしゃいますし、社会問題としての食品ロスは知っていても『どう行動したらいいかわからない』と迷われている方もいます。今の社会に必要なのは、『Petit Market』のニーズを掘り起こしていくことだと実感しています。農家さんだけでなく一般消費者の方にも農業課題や身近な地域について知ってもらうことが重要なのです。」

「今回の「県庁マルシェ」を皮切りに、作り手・買い手・売り手の全ての皆さんに何かアクションを与えたいですね」と目標を語ってくださった天野さん。私たちが「Petit Market」のデザインや地域の農作物を見て感じたことは、これからの地域や社会を変えるきっかけとなるはずです。私たち1人1人の心から始まる群馬の「未来の農業」づくり。マルシェへ足を運んでくださった皆さんと共に、これからの在り方を考えていければと思います。

「群馬県に限らず、『フードロス問題』や地産地消に取り組む事例を『Petit Market』が応援できればと考えています。同じ想いを持った取り組みをしている全国の仲間と、“小さな市場”のアイコンで繋がれたら面白いですよね。まだ手探り状態のプロジェクトではありますが、群馬県をスタートにして未来の農業に関わっていければ幸いです。」

デザインの可能性を信じて進む「Petit Market」の取り組みと「県庁マルシェ」。楽しく美味しいイベントの会場から、どんな新しいアクションが生まれるのでしょうか。これからの農業、これからの地域について、当日マルシェに参加される皆さんと考え歩んでいければと思います。







 

■県庁マルシェ開催概要


・群馬県産野菜の無人販売


開催期間:2021年11月8日(月)~11月21日(日)

開催場所:群馬県庁舎1階正面玄関南側エリア

その他:野菜は売り切れ次第、終了となります。


・キッチンカー出店


出店予定:PIZZA M.E / The Test Kitchen M / IL.PINO

出店期間:以下の出店予定日をご覧ください。

その他:天候等の都合により出店予定日であっても出店できない場合があります。あらかじめご了承ください。






 

■無人直売キット「petitmarket」




HP:https://petitmarket.jp/


【petitmarketに関するお問い合わせについて】


A.P.M

〒379-2123 群馬県前橋市山王町7-30

TEL/FAX:027-289-2107




​“まちのメディアについて

まちのメディアは群馬県およびその周辺エリアの魅力が集まるウェブメディアです。 

 

今、地域では数えきれないほどの多彩な魅力が生まれ続けています。その魅力の裏には地域で活動する多くの人達の多くの夢や想いが詰まっています。

 

 私たちは、そんな人達の夢や想いを、“まちのメディア”を通じて発信することで、新たな感動や価値観との出会いに触れ、地域に暮らす方々が、もっと豊かで、もっと楽しい地域ライフを過ごせることに貢献できるメディアを目指します。

企画・運営

logo-mw.gif

群馬県前橋市千代田町2-3-12

bottom of page